2019年も終わろうとしている。
毎年12月30日はどう過ごすか,なかなか悩ましく感じる。
12月29日まではバイトがあったりしてちょっと忙しい(だから思考をシャットダウンすることができる)。
去年の12月29日はおそらく妹とボードゲームをやっていたと思う。
今日は朝9時に起きた。
そのあと本を読んだりギターやベースを弾いたりして時間を潰していた。
しかしそれらも大体飽きてしまう。
いや,家にいること自体が苦痛なのである。
散歩がてら新札幌駅まで行こうと思った。
3時に家を出たから札幌まで行こうとは考えなかった。
何をするかは特に考えてなかった。
新札幌駅の中を歩いていたらふと思い立った。
「そうだ,喫茶店に行こう」と。
僕が毎日通る駅への道に,喫茶店がある。
全然気にしたことがないが,僕には得体の知れない喫茶店だった。
ただ僕はその店を喫茶店であることは知っていただけで,名前は知らなかった。
中に入ってみると「全席喫煙可」という文字が目に飛び込んできた。
この禁煙まっしぐらなご時世に喫煙を許容してくれる店とは。
僕はタバコは基本吸わないが(友達が持っていたら吸わせてもらっている),何か物珍しさ・親近感のようなものを感じた。
店の中には案外人がいた。
静かな様子ではなく,むしろがちゃがちゃしていた。
喫茶店のBGMとしてギターを弾いているチャック・ベリーやモータウン・サウンドの面々たちが少しかわいそうだった。
店の雰囲気はやはりレトロなもので,この雰囲気が好きな人は一定数いるだろう。
僕はブレンドコーヒーを頼んだ。
400円だ。喫茶店らしい値段だ。
味は全体的にマイルド,時々酸味,という具合だ。
好きも嫌いもない,普通のコーヒーの味だ。
味よりも,匂いが結構気に入った。
「駅馬車」は全席喫煙可だから,タバコの匂いが充満している。
するとコーヒーを飲むときにタバコの匂いが混ざる。
いや,コーヒーの匂いを嗅いでいるときは確かにコーヒーの匂いがする。
そしてコーヒーを机に置いたあとに一気に鼻腔の中を副流煙が駆け抜ける。
これがたまらなく良い。
タバコの匂いでコーヒーの匂いが引き立っている。
こういう感覚は嫌いではない。
また来ようと思った。
僕は喫茶店は入るのにかなり敷居の高いところだと思っている。
チェーン店はどうということないが,個人経営の店だったり,ちょっと薄暗い店は入るのを躊躇うだろう。
しかも入ったら少し大人な雰囲気を感じてしまう。
これで緊張してしまう。
しかし「駅馬車」はなかなかいいところだ。
ちょっと目がしょぼしょぼしているけれど。