ゲート412にたどり着けない
ゲート412にたどり着けない。
いつも僕はたどり着けないのだ。
どうしてたどり着けないかはなんとなく分かるんだけど,なぜか僕はゲート412にたどり着くことができない。
ではなぜ僕がゲート412にたどり着きたいか。
そこに行けば美味しいものがあるからだ。
僕は飢えていてポケットの中にはアメちゃん1つと515円しかない。
これでは僕は飢えてしまう!
なので僕はゲート412にたどり着きたい。
どうやら僕はグルグルと回る廻廊のような場所にいるらしい。
なぜここに来たか,はたまた来させられたのかはよく分からない。
これを考える余裕は今の自分にはなく,また考える価値もない。
死ぬか生きるか。
これだけが今の僕の全てだ。
ゲート412は必ずある。
なんてったて,ゲート411と413があるのに412がないわけがない。
ゲート411は無機質な門で,413は少しスタイリッシュで大きな門だ。
でも2つのゲートの間に412はなく,探して見たけど412という文字も見当たらない。
時間のどこかトゲトゲした流れに沿ってか,僕は大きな波にのまれるように大きく,激しく歩いている。
僕は焦っている。
果たしてこんなところにグルグル回ってゲート412にたどり着けるのか。
この薄暗い廻廊で果てるのか。
ゲート412だけが僕のメシアであり,それ以外は望まない。
僕はゲート412にメクラになってしまった。