2020-01-01から1年間の記事一覧

最近いただいたもの

大学院進学祝いやなんやらで,いろいろな人から本を頂いた。 もちろんお一人お一人にお礼を申し上げたのだが,この場でもお礼を言っておく。 頂いたものはすべて本で,今少しづつ読んでいる。 頂いた本は, Niklas Luhmann, “Rechtssoziologie”, 4.Aufl., 19…

我妻栄「私法の方法論に関する一考察」を読む

Ⅰ 我妻のモチベーション 法学部生ならば我妻栄という人物を一度は聞いたことがあるだろう。日本の民法学をほとんど完成させ,現在もなお「伝統的通説」として学説に影響を与えている民法学者である。戦後すぐに行われた民法(家族法)の大改正を行った立法者…

法学部生にオススメの本5冊を考える

質問箱で,以下のような質問が来た。 この質問は,簡単そうに見えて意外に難しいと感じた。 第1に,僕自身はそこまで法学をオススメはしないからだ。 これは「法学って結局なんのためになされているのか」という問いに僕が答えを見出していないからであり,…

東京大学雑記

先週東京大学に行ってきた。 この時期にわざわざ札幌から東京に出向くというのは憚られるかもしれないが,諸々の事情があり行くことにした。 ↑東大本郷キャンパスの赤門。入構規制がかけられているせいか閉まっている 指導(予定)教員からは入構規制がかけ…

就職活動・公務員試験・大学院入試

4年生のこの時期になると周りはほとんど進路を固めている(ロースクールの入試がまだだが)。 僕自身も進路が確定したので,そういう意味で進路について書くにはちょうどいいタイミングだと思う。 正確には,進路そのものよりも進路の入り口・登竜門,すなわ…

4年2学期の目標

今学期は全く授業をとらない。 すでに卒業単位を取り切っているのは言うまでもないが,1学期に経験した「オンライン授業」への不適応さからである。 これから様々な場面でオンラインでの催しが増えると思うから,慣れていかなければならないと思うのだが。 …

4年1学期の自己評価

コロナ禍と言う特殊な状況下にもあり,ゼミは全てオンラインであった。 このような事情で,勉強へのモチベーションが上がらず,ゼミも後半はいい加減な態度で望んでしまった(担当の教員方には大変ご迷惑をかけた)。 結論を言えば,うまく環境の変化に対応…

留学生と別れのランチをする

韓国からきた留学生Kくんが帰るということなので最後の晩餐ならぬ最後のランチを食べた。 僕は最初天ぷらが食べたいと思って天ぷらやさんに行ったらすごく並んでいたので僕らはどこか別のところでご飯を食べることにした。 するとKくんが布袋(北海道で有名…

アイヌ民族政策の途

I はじめに 北海道大学は明治時代に日本が近代国家として成立し,その枠組みが作られる中で札幌農学校 として最初に設立され,現代に至る。このような日本,とりわけ北海道の近代化の裏には北海道 (=蝦夷地)に住んでいたアイヌ民族の排斥がある。北海道大学…

近代において何が法を法たらしめているのか(法学内部における外部的観察の試み)(1)

今月はあまり勉強に集中できなかった。なので今回は復習でもする感じでノートを書いてみる。 題材は法社会学の定期試験の問題から引っ張ってきた。院試の勉強みたいなものである。 参考文献は書くようにするが具体的なページ数は書かないので注意されたい。 …

Joseph Raz, “The Functions of Law” 要約・コメント

法哲学のゼミで法実証主義者であるJoseph Razの“The Functions of Law”の要約の報告をすることになった。この論文はRazのThe Authority of Law (Oxford, 2nd, 2009)所収(pp.163-179)のものであり,初出は1973年のA.M.B. Simpson (ed.), Oxford Essays in J…

休肝

本当は今月「アンジャッシュ渡部叩かれすぎじゃね?」みたいなアホ記事を書こうと思っていましたが政治学入門のレポートの締め切り日を間違えていたこと,6月は31日までと思っていたことで無理でした。来月から頑張ります。

久しぶりにiPhoneを買った

いつもは自分の考えをまとめるためにブログを書いているのだが,今日はフランクにブログを書こうと思う。 今年の4月にでたiPhone SEの新型を買った。 久しぶりにスマホを触ったのでまだ慣れていない。 もともとスマホは持っていた。 機種はiPhone 5c。 7年ぐ…

オンライン授業

コロナ禍により全国の大学ではオンライン授業がなされている。 これは通常の授業,大学に行ってなされる対面の授業,とは異なり家で映像・音声を通してなされる。 ちなみにH大H学部の場合は講義は音声のオンデマンド配信かWebex等のアプリを用いたオンライン…

4年1学期の目標

コロナ禍が席巻している中,着実に進路を決めなければならない。 これに加えて大学院のゼミに潜る(火2・火5)。 オンライン授業の良いところは講義と演習の時間が被っている場合に,やり方次第ではどちらも取れるということだ。 つまり火曜日は外書購読の日…

やはり正義構想論はよくわからない

⒈法=正義? 法と正義の関係についての著作は数多ある。そのうちの一部を紐解くと「法は正義を標榜する」(井上達夫)とされたり,「法システム内の偶有定式」(ニクラス・ルーマン)とされたりする。中には「法の自己破壊的超越物」(グンター・トイプナー…

『職業としての学問』と大学生の特権について

最近のコロナの影響で大学の学位授与式・入学式・オリエンテーションが中止になったり延期になったりして,人ごとじゃなくなってきたという印象を持ちます。 特に附属図書館のオープン・エリア(喋って良いところ)では「お喋り禁止」の張り紙がなされ,そし…

朝井リョウ再読(『何者』・『時をかけるゆとり』・『世にも奇妙な君物語』・『ままならないから私とあなた』・『死にがいを求めて生きているの』)

高2生か高3生のときに、『何者』という映画を観に行った。 この映画には佐藤健や有村架純,菅田将暉や二階堂ふみなど,今の日本俳優界の宝石みたいな人たちが出演していて,よく覚えている。 しかし『何者』という映画の内容自体も忘れることができないもの…

小坂井敏晶『増補 責任という虚構』(ちくま学芸文庫,2020年)を読む

月に2回のペースでブログの記事を書くようになった。 そして2月の2つ目の記事は「朝井リョウ再読」にするつもりだったが,朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』が今手元にないので今回は小坂井敏晶『増補 責任という虚構』を読んでいこうと思う。 ま…

3年2学期の自己評価

3年2学期の目標 - pompombackerの徒然 Ⅰ 大学の勉強(60点)⑴上記と実際の成績の差を評価していく(減点方式)。 評価が1段階下がるごとに10点減点,上がるごとに10点加点していく。かっこ内は出席率。 月2,水4 民法Ⅱ −10点(0%) 単位が取れたので良し。 …

近代的所有権の系譜学

Ⅰ 本稿のモチベーション 我が国の民法において,所有権とは法令の制限内において自由に物を使用,収益及び処分する権利であると規定されている(民206条)。民法学上この所有権は絶対性を有するとされている。近年この「所有権(物権)絶対の原則」の弊害と…

日本における「法文化」論

Ⅰ 日本人は訴訟嫌い? 戦後に登場した東大系の三大知識人といえば,川島武宜,丸山真男,大塚久雄がしばしば挙げられる。彼らは自身の学問的基盤に依りながら,戦後民主主義の旗振り役になっていたことは、諸著作から窺える(もっとも,日本が高度成長の波に…