2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

近代的所有権の系譜学

Ⅰ 本稿のモチベーション 我が国の民法において,所有権とは法令の制限内において自由に物を使用,収益及び処分する権利であると規定されている(民206条)。民法学上この所有権は絶対性を有するとされている。近年この「所有権(物権)絶対の原則」の弊害と…

日本における「法文化」論

Ⅰ 日本人は訴訟嫌い? 戦後に登場した東大系の三大知識人といえば,川島武宜,丸山真男,大塚久雄がしばしば挙げられる。彼らは自身の学問的基盤に依りながら,戦後民主主義の旗振り役になっていたことは、諸著作から窺える(もっとも,日本が高度成長の波に…